「健康スポーツナース」をご存知でしょうか。2010年に日本健康運動看護学会によって創設された資格です。運動療法を必要とする人や地域住民の健康づくりの指導をしたり、競技スポーツ選手を看護師としてサポートしたりするのが主な仕事です。
運動やスポーツに興味を持っている看護師も多く、スポーツイベントなどで看護師の姿を目にする機会があるせいか、スポーツ分野に看護師が携わるイメージを持っている人も少なくありません。近年はより専門的な知識を持った看護師として活躍するために健康スポーツナースの資格を取得する人が増えています。
健康スポーツナースの仕事は大きく分けて4つです。「学校や地域で実施している運動器検診に参加し、子どもから高齢者の運動機能評価や相談の実施」、「病院や介護施設、健康教室などで健康づくりの一環として転倒防止指導、ロコモティブシンドローム・生活習慣病の予防指導」、「スポーツクラブなどで地域住民に対する健康指導」、「スポーツイベントにおける救護」が健康スポーツナースの主な仕事ですが、競技スポーツ選手に対する指導や支援なども含まれています。
医療の知識だけではなくスポーツに関してもより専門的な知識を習得している健康スポーツナースが現場に携わることでスポーツ外傷や障害に迅速に対応できるようになります。また、加齢や脊椎の病気などによって運動機能が低下し要介護状態になるリスクが高まるロコモティブシンドロームや生活習慣病の予防につながるとして大きな期待を寄せられています。
看護師の主な仕事は医師のサポートや患者のケアです。勤務先によっては理学療法士や作業療法士など他の職種と連携しながら業務を行いますが、健康スポーツナースは医師や理学療法士だけではなくトレーナーや運動療法士とも連携して仕事を行っています。一般的な看護師と大きく異なるのは健康相談や応急処置も担っていることです。スポーツやリハビリの場で専門的な立場から意見を述べることもあります。
身体を動かすことが好きな人やスポーツ分野で活躍したい人たちから注目を集めている健康スポーツナースのやりがいは、地域住民の健康を守り、競技に真剣に取り組んでいる選手たちを近い位置からサポートできることです。記録の更新や目標突破に向けて頑張っている選手たちをサポートすることで得られる充実感や達成感は一般的な看護師では経験できないでしょう。
ただし、専門的知識を人に伝えていかなければならないためコミュニケーション能力はもちろん、日々勉強を続ける努力も必要です。
健康スポーツナースを目指したいなら、向いている人の特徴を知ると判断しやすいかもしれません。スポーツ好きなことはもちろん、救急看護の経験者や心身に余裕がほしい人にも適しているでしょう。
転職を成功させたいなら自己分析を必ず行いましょう。自己分析によって目標が明確になるため、ぶれずに進むことができます。これまでの勤務先、役割や得たスキル、現状に対する不満と理想の条件を思いつくままに書き出しましょう。
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